第20章 2人の年越し
『折角…シャンパンありますし…。
シャンパンと一緒に、ちょっとした
背徳感…味わいたくないですか?』
そう言いながら、彼が
ベッドの上に広げたのは…。
カラフルなパッケージ包装の
コンドームに見えてしまったのは
ここがベッドの上だからなのだけども。
成城石井のナポリタンチョコレートで。
もう、お風呂も済ませて
歯磨きも済ませてしまってるから。
普段だったら飲んだり食べたりは
したりしない時間…に…。
こんな物を目の前に出されてしまって。
「成城石井の…チョコレート…」
『成城石井のサーモンと
チーズとオリーブの
オイル漬けもありますよ?』
食べやすい様にピックも
ちゃんと用意してくれてるの
この…気の利く彼の
良い所だって感動しながらも。
シャンパンとの相性が良さそうな
そんなおつまみを出されてしまっては。
こっちとしては…それをお断りする
なんてことは…出来るわけなくて。
今日だけ…と自分の言い聞かせて
罪悪感と背徳感の味を…、
彼と一緒にベッドの上で味わった。
『カウントダウンとかも
良いかなって思ったんですけど、
寒いですし、今日は生憎の
お天気でしたしね…。
家で…ふたりでベッドで…
年越しイベントできたらなぁ…って』
「み、港斗…君……
こんな…年越しするのは…
産まれてから36年で
初めて…だよ、こんなの…ッ」
『巴さんが
喜んでくれたんだったら、
僕はそれで充分ですけどね?
そうだなぁ…、僕にも…
シャンパン飲ませて貰えたりとか?』
嬉しいって気持ちを素直に
隣にいる彼に伝えると。
自分がさっきした様にして、
自分にもシャンパンを飲ませて欲しいと
そう彼がこっちに言って来て。
巴が自分のグラスの
シャンパンを口に含むと。
彼の足の上に乗って…、対面座位の
姿勢になると、港斗の肩に
自分の腕を回して、自分の唇を
彼の唇に合わせると。シャンパンを
彼に口移しをして飲ませた。
『もう…一口…良いですか?』
「うん…いいよ?もっと…欲しいの?」
それを数回繰り返すと、
グラス1杯分を彼に口移しで
シャンパンを飲ませていて。
そうしてる間も…その手は
こっちのお尻の辺りに添えられていて。