第74章 彼からの2つの提案
『いい意味で…ミナトの殻を
割ってくれたしね…?』
と……有翔さんの話を聞いていると、
双子は…紫苑さんの事を
ずっとどこかで気にしていた
港斗君の事を心配していたみたいだった。
『ありがとうね?友坂さん…』
「いえ…私は…何も…、
いつも港斗君に…助けて貰ってばかりで…」
そんな話をしていると、
給湯が終わったと…お知らせして来て。
お客さんである有翔さんに
一番風呂に入って貰う事にした。
洗濯出来ている彼のパジャマの上下と
洗濯してある綺麗なバスタオル。
流石に…洗濯していても…下着は
お貸しするのは…失礼な気がして…。
お風呂の脱衣場に…着替えの下着
以外の一式を巴は用意する。
下着は用意できない事を謝ったら、
さっきのスーパーで下着は買ったから
それは大丈夫だと…有翔さんが言って居て。
巴…が…リビングに戻ると、
もう片方の双子の片割れである
來翔さんの方が…目を醒ましたみたいで。
『あっれ?巴ちゃんアルは?
アルどこ行ったん?トイレ?』
「あ、來翔さん…目が醒めたんですね?
とりあえず…お水持って来ますんで…
これ…飲んで…下さいね?
それから…有翔さんなら
今は…お風呂ですよ?」
『なぁ…何かある?俺、腹減ってんけど…』
「あ、ちょっと待って下さいね…」
さっき飲む時に食べていたお刺身の
盛り合わせの鯛の刺身が残っていたから。
サッとだし汁でその身に火を通して。
お茶漬けの元をストックしている
解凍してチンした白ご飯にかけて、
その上にだし汁で火を通した
鯛のお刺身を2切れ乗せて
その上から…サーバーのお湯を掛けて
簡単な即席鯛茶漬けを作って。
「こんな物…で……良ければ…」
『巴ちゃん…ありがとう…。
めっちゃ美味そうやん…
お茶漬け…ええ匂いするわ…』
かき込むようにして…お茶漬けを
美味しそうに食べている來翔さんを
見てると…有翔さんが、
來翔さんにご飯毎日作ってあげてるのも
こんな風に美味しそうに食べてくれる
來翔さんの姿が好きだからなのかなぁ~って
そんな感じの事を考えて居たら。
『なぁ、巴ちゃん…さぁ…、
ミナト止めて、俺に乗り換えへん?』
「もう…、そんな冗談言ってないで。
有翔さんが戻って来たら、
來翔さんもお風呂に入って下さいね」