第74章 彼からの2つの提案
適当に聞き流しながら
來翔の分のお風呂の用意を
巴が整えて、お風呂セット一式を
バスタオルに包んで巻き寿司みたいにする。
普段は…リビングの隅で
立てかけていた脚付きのマットレスを
港斗君が今日は…そのまま
双子が泊まるだろうからって
予め使えるようにしてくれていたから。
お風呂から戻って来た有翔さんは
自分はこっちで寝ると言って居て。
まだ話をしたそうにしている、
來翔さんの方にもお風呂に行って貰った。
「おーい…港斗く~ん?
そろそろ起きないと…、ずっと
リビングのラグの上で寝てたら
身体が痛くなっちゃうよ?」
『…ん…ん…
巴さんッ…も…一緒に…』
そう言って下から伸びて来た
彼の腕に身体を引き寄せられて
ぎゅううと抱きしめられて
ホールドされる。
スリスリと…こっちの頬に
自分の頬を彼が擦り付けて来て。
身体を抱きしめていた腕が
スルスルと巴の
背中を撫でて行く。
手の平が…腰を撫でて…
お尻の方へと…伸びて来て。
「……港斗…くん、今は…ッ
やっ、……だ…ダメッ…だよ?」
彼はまだ…夢の国に…
片足をつっこんだままなので。
こっちのダメの意味も…
理解できない感じで…。
いつもの調子でこっちの身体を
えっちな…感じに…弄って来る。
「んや…ダメって…言ってる…のにッ…」
『巴さん…もうちょっと…だけ…』
『あ~、ミナト、それ以上はストップね?
ミナト…僕も…居るんだけど?
友坂さんの喘ぎ声…、僕に聞かせたいの?』
と…家にいるはずのない声が
聞こえて来たからなのか…
半分寝ぼけていた彼が完全に目を醒まして。
ガバッ…と…ラグの上で
こっちの身体を抱っこしたままで
自分の身体を起こした。
『はい、おはよ、ミナト。
せっかく…良い感じにお酒も
入ってるし、お楽しみの所悪いけど。
続き…ふたりでするんだったら、
部屋でしてくれない?』
『え?…え?…何で…有翔が…うちに…
って…え?夢?……巴さん
どうして…僕の事止めてくれないんですか?』
「いや…だから…さっきから
これ以上はダメって…言ってたのにッ…」
自分が寝ぼけてえっちな触り方を
して来たくせに…と思ってしまう。