第66章 先月の話……
そう言って…父親である浩輔が
港斗に何かを手渡して居て。
港斗が浩輔から受け取ったそれを
自分のズボンのポケットにしまっていた。
もうお酒は飲んでるから、
車貸してとか…じゃないだろうけど…。
その後はしばらく…ご両親と
リビングでお話をして、
港斗君がお風呂から戻るのを
2階にある港斗君の部屋で
特に何をしたらいいのか分からないので。
適当な場所に座って、自分のスマホを見て
彼が帰って来るのを…待っていたのだが。
それから10分程して、彼が
バスタオルを肩に掛けた格好で戻って来て。
『すいません…、今戻りました。
巴さん、お風呂
一番最後で良かったんですよね?』
さっき片付けをしながら話した時にも、
亜希子さんが…お客さんに
一番最後なんてと気にしてたみたいだったので、
生理中だしお互いに気を遣うだろうので
最後の方が都合がいいとは…言ってたんだけど。
彼のご両親がお風呂に入って、
部屋で彼と話をしてたら
声を掛けに来てくれたので。
彼にお風呂に行って来ると声を掛けて。
生田家のお風呂をお借りしたんだけど、
レインシャワーも設置されていて、
お風呂も…大きいし、
ミストサウナもある…いいお風呂で。
一番最後と言う事もあり…
ゆっくりとお風呂を使わせて貰って。
お湯を抜いて軽くお掃除をして、
お風呂を後にして戻ると。
2階に続く階段の途中ぐらいで
話声が聞こえて来て耳を澄ませると、
彼の部屋の辺りから彼の声が聞こえて来る。
弟さんと話をしてる割には、
彼の口調が…荒い様な感じがして。
『どうして…そんな事…言うのよ…?
あの頃の…港斗は…もっといい子だったわよ?』
この声…紫苑さんの…声?
紫苑さんが…部屋にいるのかと思ったけど
どうやら部屋の前の廊下で、
部屋に入れるや入れないやで
2人は問答をしている様だった。
『紫苑と…結婚するって言ってたのに?』
『あれは……紫苑が…、僕に
言わせた…みたいな物でしょ…?』
その2人のやり取りを聞いて…、
その当時の話を2人はしてるんだって。
『でも…先生が選んだのは…
私でも…、樹里でもなくて…奥さんだったのよ』
え?樹里って誰??