第66章 先月の話……
『港斗~、お帰りぃ~。
ひさしぶりだねぇ、
もう、会いたかったぁ~ん。
ごめんねぇ?お正月はさ
うちの社員がヘマしてさ…
取引先に…謝って回っててさぁ…
こっちに帰って来れなくてぇ~
って、誰?その隣の女…』
彼に話しかけてる時は
猫なで声だったのに、
私の方に鋭い視線を向けてくると
2トーン位低い不機嫌さを
マックスにした声で
吐き捨てる様に言って来て。
『あらあら~、ふたりともお帰りぃ。
巴さん…ずっと
来てくれるの楽しみにしてたのよ。
ああ、後…ついでに港斗も…ね…』
相変わらず年齢不詳の美魔女ぶりの
彼の母親の生田亜希子がこちらに
出迎えをしに来てくれて。
手土産のケーキを手渡した。
『亜希子ママ…この人は?』
紫苑と言う名前の女性は
彼の母親の亜希子さんの事を、
亜希子ママと呼ぶ間柄の様で…。
亜希子が何も知らない巴に対して
彼女の名前は生田紫苑と言って、
彼のいとこなのだと説明してくれた。
要するに…彼のお父さん、
生田浩輔さんの…お兄さんの娘さん。
奥のソファで彼のお父さんである
浩輔さんとワインを一緒に飲みながら
親し気に話をしてる男性が
この紫苑と言う女性の父親の様で。
お兄さんの生田浩一さんは
東京の方で会社を経営して居て、
彼女…紫苑さんも…その子会社の
社長として…会社を経営してるとか…。
『港斗兄…、お帰り。先食べてるよ。
そっちの人は彼女?どーも、
港斗兄のいとこをしてる、
生田紫門です、初めまして』
こちらの男性は…港斗君を
港斗兄と呼んでいるので
彼より年下のいとこの様で。
あの…紫苑と言う女性の弟の様だった。
「初めまして…、私は
友坂 巴と申します…。
港斗さんとはいいお付き合いを
させて頂いております…」
『待ってて、今…ちょっと
外に出てるけど、もうちょっとしたら
もう1人と言うか3人来るから』
そう紫門が言うと港斗が
その紫門の言葉に反応をして。
『紫杏…お姉ちゃんも来てる?』
どうやら…この感じからだと、
紫苑の上にもう一人姉が居て、
その女性は既婚の様で
佐伯紫杏と言う名前の様だった。
上がって頂戴…と亜希子に促されて。
お邪魔しますと上がらせて貰うと。