第1章 好きと言わせたい
「涼太…
なんで…そんなに謝るの?
別に…私のことなんてほっとけばいいでしょ…
私なんかいなくても…」
「っち…
『私なんか』って言うの禁止。
なんで自分を卑下するような言い方…」
「…………」
「俺…何回も言ってるっスよ…
っちが好きって…
…っちで良いじゃなくて…
っちじゃないと…ダメなんっスよ。
そこだけはわかってほしい。」
私なんか……か…
自分で意識して使ってるわけじゃなかったけど…
そんなに頻繁に使ってたのかな…
涼太の真剣な表情にそれ以上何も言えず私は黙って頷いた。
なんだか…さっきまでモヤモヤしていたのに…
すごくスッキリとした気分になった。
なぜかはわからないけど…少しだけ胸の支えが軽くなった気がする…
その後、私は涼太と学校に向かって再び走った。
もちろん朝練には遅刻し、私は事情を話そうとすると涼太が私を庇う様に『っちを無理やり連れ回して海で遊でたっス!』と嘘をついていた。
その後、監督と笠松先輩からガミガミ説教されたのは言うまでもない。