第15章 MENオオカミ男とピグリンブルート
アリスとの個室面談もいよいよ最後の一人となった俺は、なぜかラヴェジャーと一緒に戻ってきたおらふくんを横目に、ハナと一緒に応接室へ向かった。
そこにいたのはアリスという人間と、どういうことかピグリンブルートが目の前の机の上のカゴの中にいて、俺のことをじっと見て……いや、睨んでいるような感じでそこに座っていた。
「この子は……ピグリンブルートですか?」
まず先に質問をしたのはハナからだった。アリスはハナが驚いている顔に動じる様子なく、むしろ楽しそうにそうよ、なんて返事をする。
「とても手先が器用なブルートなの。子どもの頃は、よくあちこちトンネルを掘って遊んでもらったわ」
トンネルを掘るピグリンブルート、か。確かに、そのブルートは通常は持っているはずの斧ではなく、ツルハシを持っていた。ツルハシがあればどこでも掘れるのだろうが、まぁそんなことより俺はMOB語翻訳機の話を進めたかったのでアリスに早速話し掛けた。
「こっちの言葉は分かるのか?」
MOB同士でも、俺がオオカミ状態の時は他のMOBたちにこちらの言葉が伝わらないのが難点であった。
このアリスはどうなんだろうかと次の反応を待っていると、その人間がグッと顔を寄せてきて目の前で瞬きをしたものだから、一見それがどういうリアクションなのか見分けづらかった。
だから俺はもう一回言ってみた。
「俺の言葉は通じてるのか?」