第14章 魔女おらふくんとラヴェジャー
僕たちはアリスさんのお家に来ていて、ハナさんと一緒に談話室みたいなところにおった。
そこには黒くて大きな牛さんがおって、アリスさんが飼育カゴごと僕たちに近付けて「ラヴェジャーだよ」って説明してくれた。
だから僕も挨拶を返したんや。
「初めまして、魔女のおらふくんやで」
するとラヴェジャーさんは驚いた顔をして、僕もおらふくんなんやでって教えてくれたんよ。そんな不思議なこともあるんやなぁと思ったら、アリスさんがラヴェジャーさんを飼育カゴから出したんや。だから僕もカゴから出してってハナさんにお願いしたら、おもろいことにアリスさんが僕の言葉を通訳してくれた。
「そちらの魔女くん、カゴから出して欲しいみたい」
「え、本当に?」
アリスさんの言葉にハナさんは疑ってる様子で僕を見つめた。僕は本当やでと伝えたくて両腕を振ったけど、ハナさんにはやっぱりMOBの言葉は伝わっていないみたいやった。
「アリス、僕と初めて会った時からMOBの言葉が分かるみたいなんよ」
と飼育カゴの向こうでラヴェジャーおらふが喋った。このラヴェジャーは見た目の怖さと違って、話しやすいMOBだなぁと僕は思った。
「MOBの言葉が分かる人間なんてすごいなぁ」
と僕が言うと、ほんまにすごいよねぇとラヴェジャーおらふが笑った。僕も一緒に笑い合った。