第13章 フランケンおんりーとアイアンゴーレム
俺たち五人のMOBは、アリスの家のリビングにいた。
今からハナが一人ずつ俺たちを応接室に連れ出してアリスと談話をするらしい。なんでも、俺たちMOBの言葉が分かるから、一人ずつ話してみたいというアリスからの提案で始まったことだった。
最初に連れ出されたドズルさんは一向にリビングに戻ってこなかったが、二番目に応接室に行ったぼんさんがハナと共に戻ってきた。話を聞いてみると、アリスという人間は本当に俺たちMOBの言葉が通じるらしい。
半信半疑で俺はハナと応接室に向かうと、そこにはすでに待ち構えていたかのように手乗りアイアンゴーレムが立っていて俺も身構えた。
「いらっしゃい、フランケンシュタインさん。この子はアイアンゴーレムのおんりーよ」
そう言ってアリスが机の上に立つアイアンゴーレムを紹介した。が、今なんて言った? 名前がおんりー?
どういうことなのか俺が黙って考えていると、向かい合うアイアンゴーレムが先に話し出した。
「次はフランケンシュタインが来るって聞いたから警戒していたんだけど」とアイアンゴーレムが言う。「その必要はなかったみたいだな」
まぁ、アイアンゴーレムならそう言うしかなかったんだろうが、初対面から失礼なやつだなぁと俺は思った。俺は相手にせず手にしていた雷玉を齧った。
「何、それ……食べて大丈夫なの?」
アイアンゴーレムがさらに訊ねた。俺は齧りかけの雷玉へ視線を落とし、そういえば他のMOBたちがこれを食べているのは見たことがないので、はたから見たら珍しいものなんだろうなと考えた。
「雷玉。雷がないと、動けなくなるから」
と俺が答えると、アイアンゴーレムより先にアリスがぐっと顔を寄せて話し掛けてきた。
「へぇ、それって雷玉って言うんだね?」
これには俺も驚いた。本当にアリスは、俺たちMOBの言葉が分かるらしい。
「そうなんです。フランケンシュタインに与えるご飯らしいんですけど、他にフランケンシュタインを飼っている人がいなくて……」
俺が返事をするより早く、ハナがそう説明した。それを聞いていたアイアンゴーレムも、興味深そうに頷いた。