第12章 ぼんミイラ男とウーパールーパー
MOB語が分かるアリスという人間と一人ずつ会話をするとのことで、俺はハナと一緒に別の部屋に向かった。
先にアリスと会話していたはずのドズルさんの姿がないのは怪しかったが、今はハナに捕まっているからどうしようもない。まずは様子をみるとしよう。
やって来た部屋は、先程いた部屋より少し狭いところだった。といっても、ハナの家のリビングくらいの広さはあるのだが。
あとは他には煌びやかな飾りやよく分からん物が置いてあるなんの変哲もない……といったらおかしいのだが、特に怪しいものはなさそうだった。
ただ、部屋の奥には五つの飼育カゴが置いてあり、一つが空以外はそれぞれよく知った手乗りMOBがそこにいた。
飼育カゴといっても、一つは水槽になっていた。俺がその水槽に何がいるんだろうと目を凝らしていると、ハナより先にアリスが声を掛けてきた。
「ミイラ男さんは水槽が気になるの?」
急に話し掛けてきた人間の女性は、最初から一目見た時からどうも人懐っこい、MOB懐っこい感じがしていた。ハナより長めの髪が俺の視界でゆらゆらして、何かいい香りがした。
いやいや、そんなことでは靡いたりしないぞと俺は気を引き締め、アリスの質問に言葉を返した。
「俺はミイラ男だが名前はぼんって言うんだ」
アリスはMOBの言葉が分かると聞いていたが、長く喋ったら通じないのではと俺が思ったからわざとそう言ってみたのである。
しかしアリスは俺の予想を越えた反応を見せた。