第11章 ドズルバンパイアとクリーパー
そう言ってアリスは僕の頭を撫でた。ハナとは違う撫で方に少しびっくりしたけど、これはこれで気持ちよかった。
すると、いつの間にかハナの手の平にいたクリーパーが僕に話し掛けてきた。
「涼しそうな格好だね。キミもサウナに入りに来たの?」
「え、サウナ?」
聞いたことのない単語に僕が首を傾げていると、そこにいるアリスが、あ、そうだと閃いたように話を切り出した。
「うち、サウナがあるの。そのバンパイアさんは丁度よさそうな格好だし、一緒に入ってみる?」
「え、でも私は……」
アリスの言葉にハナは躊躇った様子だったが、僕は俄然興味があった。
「サウナに入ってみたい!」
だが、ハナにこの言葉は通じていないみたいで、ハナに見つめ返されるだけ。僕はアリスへと目を向けた。アリスはやはり、僕の言葉が通じているみたいだ。
「そのバンパイアさんは入ってみたいって。連れて行ってもいい?」
「うん、いいけど……」
ハナは不安そうな顔をしていたけど、この後僕はどっぷりとサウナにハマることとなる。
最初は暑い部屋の中にびっくりしたけどね。
サウナに一緒に入ったアリスのクリーパーが、隣に座って僕にこう言った。
「ね、いいところでしょ?」
僕は頷いた。
「うん、そうだね」
そうして僕は、そのクリーパーとサウナ仲間となった。名前が同じドズルなんて、不思議なこともあるもんだなぁと思いながら。