第8章 可愛い後輩
頭のてっぺんから足の先まで愛されて。
睡魔に襲われ意識が遠退きそうになってもジンによって戻された。
気が付けば外はすっかり明るくなり、愛されすぎて身体のあちこちが痛む。
でもこれは・・・・・・幸せな痛みだ。
「お待たせしました・・・シャワー、どうぞ・・・」
「・・・・・・フン」
「・・・・・・」
一緒にお風呂に入りたいと言われたが、何もされずに済むわけがない。
今日はベルモットに新入りの世話とやらを頼まれているのに、ジンと2人でいたら触れ合って1日が終わってしまう。
私も一緒に入りたかったし彼の拗ねた顔が愛おしくてOKを出してしまいそうになった・・・が、心を鬼にして断った。
シャワーを浴びて帰ってきてもなお、ジンのご機嫌は斜めらしい・・・。
「・・・ジン、もうすぐウォッカが迎えに来ますよ?」
「・・・2人で入れば時間に余裕があっただろうが」
2人で入ったら、まだまだ出てこられません。
子どものように口を尖らせはしないが、拗ねて甘えているのは可愛い。
ジンの甘える姿など誰も見たことがないだろう。
そう考えると、私だけに気を許してくれているのだと優越感に浸れる。
しかし・・・気になることが1つ・・・。
「あの・・・ジン。今回はゴム・・・が、なかったから抱くのをやめようとしてくれてましたけど・・・。部屋では何故・・・」
最後まで抱いてくれなかったんですか?
私だけ気持ち良くしてくれて、その後すぐに部屋を出されたことが・・・ずっと気になっていた。
煙草を吸っている彼が私の目を見て、フッと煙を吐く。
目を細めて微笑む姿にドキッとした。
「・・・・・・バーボンと関係があったんだろ?奴の顔がチラついたっつーのと、あとは・・・・・・」
バーボンとの関係を気付かれていた。
・・・ということは、私もNOCとして怪しまれているのではないだろうか・・・。
「お前の気持ちが完全に俺に向いてからシたかった・・・っつーか・・・・・・バーボンと切れていないうちにヤったら、お前は気にするだろ」
つまり・・・すべては私の為。
「女々しいから忘れろ」と彼は言うけど・・・
どうやっても忘れられないよ。
あなたとの"色あせぬ恋"の始まりだから──