第18章 裏切り者
「誰!?そこで何してるの!?」
「っ!!」
持ち場に戻ると、ちょうど通りかかった金髪ロングヘアの女性と鉢合わせた。
うそ・・・・・・今まで気配を感じなかったのに・・・。
私たちに怯え、震えている女性。
なるべく危害を与えたくなかった。
早く・・・早く逃げて・・・・・・!
彼女にそう伝えようとした時、バンッと銃声が鳴った。
「きゃっ・・・」
「あぁっ・・・!!」
背後から撃ったピンガの銃弾が私の右肩を掠め、そして彼女の左肩に当たった。
まだこちらに拳銃を向けているピンガと女性の間に立ち、盾になる。
「チッ・・・おい、どけ」
「だ、だめ・・・っ、撃たないで・・・!」
関係のない民間人に手を出さないでほしい。
こんな願いがピンガに通用しないことはわかっているが、できるだけ時間を稼ぎたい。
「お前・・・・・・本当に組織の人間か?」
ピンガの言葉に冷や汗が流れた。
──悟られてはいけない。
彼の目から視線を逸さぬよう歯を食いしばった。
ヒールの音が駆け抜ける。
私たちが睨み合っている間に、金髪の女性は走って逃げているところだった。
傷は深いのだろうか。
彼女の血液が床にポタポタと垂れていた。
無事に・・・・・・逃げ切って・・・・・・。
予想外に、ピンガが追わなかったことに安堵した。
「フン・・・。キールか?1人逃げた・・・あぁ、見られた。始末しろ」
すかさず、キールに連絡をするピンガ。
そうか・・・・・・キールがいたのね。
それなら大丈夫。きっと殺さずに安全な場所へ誘導してくれるはず。
本当は自分が追いたかったが断念し、近くにいるであろうキールに彼女を託した。
「あぁ、それと・・・・・・。ミモザって女は、正真正銘・・・・・・コッチ側の人間で間違いねェんだよな?」
「っ・・・!」
「・・・・・・はァ、そーかよ。了解、あとは頼んだ」
通話を終えたピンガは私を問い詰めることなく、「行くぞ」と一言残しセンターを去った。
キールの言葉を信じたのか、まだ疑っているのかはわからない。
銃弾が掠った右肩は僅かだが出血していて、ヒリヒリと痛んだ。