第2章 お悩み相談室【ハンジ】*
時刻はを午後六時を迎えた。
私はこの執務室の主であるハンジ分隊長、副長のモブリットと共に壁外調査後の書類作成に追われていた。
と言っても、私は自分の班の報告書を完成させ二日前に持って来ているのだが、分隊長はまだ終わっていなかった。その為私が呼ばれ手伝う羽目になったのだ。
なんでも明日の朝には団長に提出しないといけないらしい。それのもうすぐ五割が終わろうとしている。
「が来てくれたから間に合いそうだね。ありがとう。」
「お役に立てて光栄です。」
「助かったよ。しかし、分隊長が報告書より先に研究を始めてしまうからですよ…!すぐにとりかかっていれば、の手を借りることもなかったんですからね…!」
「そうだよね、ごめん。反省してる。」
反省の色はまったく見られない口調で書類から目を離さずに言った。
確かにすでに報告書を上げている私の班員は待機という名の非番だ。
もちろん私も。
団長まで報告が回り、そこから分隊長へ指示がない限りは各自訓練にとりかかるなど、そういう日になる。
今日の非番は無くなったが、私は分隊長の手伝いができることが嬉しい。
ハンジ分隊長は普段からフランクで部下の面倒見がとても良い。たまに辛辣な言葉を発する時もあるが、そんな素直な所が可愛く思える。
そう、私はハンジ分隊長に密かに想いを寄せている。気づいたのはつい最近だけど。
「夕食どうされますか?私、持ってきますよ。」
「ああ、順調だから休憩しようか。二人もここで食べなよ。」
「はい、そうします。」
「ではすぐにお持ちしますね。」
そう言って私は執務室を出た。
*
「ところでモブリット。」
「なんですか?」
ハンジさんはが出ていったのを確認してから、書類を作成する手は止めずに話し始めた。
「のことだよ〜!」
「は?」
やけに奇妙な笑顔のハンジさんだ。この笑顔はよからぬ事を考えている事が多い。
「実際、とはどうなんだよ。」
「え、どうって…ただの同期ですけど…」
俺たちは入団後に出会った同期で、同じ分隊に配属され助け合ってきた仲間だ。本当にそれだけだ。
それに俺はが誰を意識しているか知っている。分隊長が何か余計なことをしでかさないと良いが…