第3章 出会い
ユリ side
強引に引っ張られついた先は暗い路地。
さっきの場所より少し肌寒い。
てか何さらっとこんな事になってんの…!
早く逃げないと…。
「あの…………。」
「私そろそろ帰らないと……………。」
どうにかしてこの場から一旦立ち去りたい
どんどん身体が熱くなり、冷や汗が出てくる。
ここは肌寒く、私は少し震えていた。
そんなとき
「話は後で聞く。」
パサッ
私にフード付きの上着を被せてくれた。
優しい。
人の優しさに触れることが嬉しい。
兵長って本当に…カッコいい。
「え………………」
私はこの行動に思わず声が出た。
顔を少し見てみると
嫌だったか?と覗き込んでるように見てる。
いや、実際はそんな事ないのかもしれない。でも。
そんなふうに見えてしまう。
お礼を言い忘れていたので遅れて言う。
「あ…ありがとう…ござい…ます…。」
焦ってまともに声が出ない。
恥ずかしい。
こんなにも羞恥心に襲われることは今まであっただろうか?
しばらくすると、遠くからだが、足音が聞こえてきた。
見た感じここは人通りが少ない。
通るとしたら…憲兵の見張り?
嘘でしょ…私ここで…。
まぁ推しと会えたからいいんだけど…。
そんな事を考えているうちに足音は近づいてきている。
「誰が来てますね……。」
そっと兵長に伝える。
てかそもそもなぜ兵長はこんなところへ連れていたのだろう。
憲兵に渡すならもっと容易にできたはず。
なら何で…
憲兵以外に私をどうするつもりなのだろう。
兵長が憲兵に渡さず、私を守る理由……。
さっきの兵長の行動から見て…
調査兵団が関係してくる…?
私が壁外だと、気づかれたとしたら…。
私は人類にとって貴重なのかもしれない。
だから調査兵団で、色々と必要にされるのかもしれない。
そしたら憲兵から私を守る辻褄が合う…。
兵長を信用してなかった訳じゃない。
でも、心の底からは信じていなかった。
今は信じていいと思う。
心の底から…。
これからの行動は全て兵長に任せる。
そう思った瞬間。
「声出すなよ」
ギュッ
抱きしめられた。
勢い良く抱きしめられた。
筋肉のある腕の中で私は久しぶりに感じた。
幸せ
だと。