第2章 退屈な日々
ユリ side
屋上の恋
どこにでもある怪談話が、うちの学校にもある。
それが屋上の恋だ。題名からしたら大したもんじゃなさそうだけど学校では人気ナンバー1だ。
内容はこう
昔にも同じ屋上の恋という噂話があった。元祖は分からないがこの学校の屋上で告白すると恋が実るというお話。実際学校では相次いで告白が成功していたそうだ。
それを信じた、ある青年が長年片思いしている少女に屋上で告白した。しかし少女は他に好きな人がいると言い断った。そして青年は怒りと嫉妬に狂い、その少女を屋上から落とした。その後青年は自分の罪の意識がだんだん大きくなり、少女を追いかけるかのように自分の身も放り投げたそうだ。
それ以降屋上で告白を断ったものは皆霊の青年に屋上から落とされる。だが稀に落とされた少女が救ってくれることもあるらしい。
明るい内容の噂話から暗い怪談話へと進化した。
こんな話を修学旅行に友達から聞いた。
そんなことを頭の片隅に置きながら、私は屋上へ急いだ。
私はゆっくりと屋上のドアを開けた。
待っていたのは同じ生徒会にいる会計の佐藤だ。
中1の時から同じクラスで仲が良い。
「来てくれてありがとう。」
いつもより優しい声で喋りかけてきた。
「全然大丈夫だよ!どうしたの?」
明るい声で私も返す
「ゆりさんは怖くないの?学校の怪談」
怪談話
所詮つくりばなし 信じるも何もない。
私を殺してくれるなら本望だ。
「僕ね、ゆりさんが好き。一目惚れでした。敬語をずっと使っているのも本当は尊敬なんかじゃなくて好きだからです。」
告白か‥
聞き慣れた言葉がこの後もずらずらと私の耳に入ってくる。
「僕と付き合ってください」
信頼も厚いし別に嫌いでもないだけど恋愛感情なんて一つもないし何より、、、、
「ごめんなさい。私他に好きな人がいるの」
リヴァイ兵長が大好きだからだ。
それ以外に目を向ける時間は本当に無駄だと思っている。
「答えてくれてありがとう。」
わかる。きっと佐藤くんは優しい人なんだと。私なんかと違い。
「私呪われちゃうかもね」
明るい声でそう伝えた
「かもね」
寂しいような悲しいような声が帰ってくる。
その後佐藤くんは静かに屋上から去った。
そして私はしばらく屋上の柵によしかかっていた。