第8章 潜入の前に※
USJ襲撃のあとは毎晩死柄木の銃創の包帯を替える作業にあたっていた。
『弔くん、私。入るよ。』
いつもバースペースで手当をするが中々来ない死柄木には部屋をノックをし死柄木の返事も待たずに、ドアを開けて中に入る。死柄木はデスクの前に座り何やら真剣にテレビを見ていた。
初めて入る死柄木の部屋に緊張しながらも、いかがわしいものはないか?と興味津々に周りをキョロキョロする
『弔くん、包帯、変えよ?』
「あぁ...サンキュ。もう消毒だけで大丈夫だ」
死柄木の肩に手を置くまで存在に気づいてなかったのか、キョトンとした顔で見る。
『あ、テレビつけたままでいいよ............?弔くん?』
無言での横を通り過ぎる死柄木。
1人が座れるデスクとベッドしかない殺風景な死柄木の部屋で、死柄木はも座って手当てがしやすくする為なのかベッドの縁に腰をかけ、左手でシーツをトントン、と叩く。
「来いよ」
『っっ!』
を誘惑するかのようにあざとく首を少し傾げ緋色の目を細めてを見る死柄木。
その目に抵抗できないはゆっくりとベッドに腰掛ける死柄木へ近づいていく。
死柄木の隣に腰をかけるとベットがギシリと音を立てる。
普段の死柄木と何ら変わらないはずなのに死柄木の部屋、ベッドの上、バースペースより狭い密室、たったこれだけでの心臓は早鐘を撞いていた。
「ん...」
『へっ...?あ、あぁ......』
突然差し出された左手に、一瞬は困惑したが本来の目的を頭に叩きつける。死柄木の手を取り消毒をしようとするがその手はすぐに引っ込められてしまいの手は虚しくも宙を掴んだ。
『え...弔くん?』
「今、違うこと期待してただろ?」
『し、してないっ!!』
お互いの吐息がかかるくらいの距離で死柄木がの顔を覗き込んで言う。
裏返った声がそれを肯定してしまったんじゃないかと思い、余計に顔が熱くなる
「フッ..........ほら。頼む。」
ほくそ笑む死柄木は再び左手をスッとの前に差し出して、は治療にあたった。