第22章 林間合宿 3日目※
ミスターが指をパチンと軽快に鳴らす。
その瞬間、障子くんの持っていた2つのビー玉の圧縮は解除されたが出てきたのは2つの氷の塊だった。
『お、ミスターやるねぇ』
「ッ!?俺の氷結か!」
「そう。さっきひっきりなしに飛んできた氷結攻撃を咄嗟に圧縮してダミーとして右ポケットに入れておいたのさ。」
「「「待て!!」」」
ビー玉から出てきた自分の氷に驚く轟くん、そして3人が一気に私たちの元へ再び走って戻ってきた。
「ミスター、やらしーなァ」
どの口が言ってんだと思いながらもクツクツと喉を鳴らして笑う荼毘を横目で見た。
「右手に持ってたモンが右ポケットに入ってんの発見したら、そりゃあ嬉しくて走り出すよなぁ?」
『じゃあ、アジトに帰りますか』
一瞬の出来事だった。
私と荼毘、ミスターがワープゲートに入ろうとした時だ。
大きな音とともに眩い光が放たれた。
音の方を見れば草むらから、青山くんがこちらに向かってレーザーを放っていた。
「ッ、かはっ!!」
『ミスター!』
青山くんのレーザーはミスターの顔に一直線に伸びてミスターの仮面を破壊した。その衝撃でミスターの口の中に入っていた2つのビー玉が宙を舞う。
私と荼毘、轟くんと障子くんの手が同時にビー玉目掛けて伸びた。
私が伸ばした手は、障子くんの伸ばされた複製腕によりビー玉を取ることができなかった。
『...ッ、さすが障子くんの複製腕』
荼毘の方は、と振り返れば荼毘の手にはビー玉が握られていた。
良かった。あっちは取り返していたようだ。
「悲しいなァ、轟焦凍...」
一瞬荼毘が眉を下げて笑い、轟くんにそう言ったのが聞こえた。
再びワープゲートへつく私と荼毘とミスター。
「確認だ、解除しろミスター」
「チッ、俺のショーが台無しだっての」
青山くんに自分のパフォーマンスを台無しにされたのがよっぽど悔しかったのか、指をパチンと鳴らすとそそくさとワープゲートに消えていくミスター。
荼毘が持っていたビー玉からはかっちゃん、そして障子くんが持っていたビー玉からは常闇くん出てきた。
かっちゃんを呼ぶデクくんの悲痛な叫び声を聞きながら私もワープゲートへ入っていく。
襲撃前、雲に覆われていたはずの月はいつのまにかこちらを睨むようにはっきりと顔を出していた。