第22章 林間合宿 3日目※
1日の訓練を終え、夕食も済ませあっという間に夜になった。他の生徒が肝試し、とテンションを上げている中私は違う意味で気持ちを昂らせていた。
早く遊びたい。遊びたい。遊びたい。暴れ回りたい。
全部めちゃくちゃにしたい。
かっちゃんの勧誘なんて事はすっかり忘れ、私はとにかく暴れ回りたかった。雄英に入って数週間、意味のない授業を聞き、テストを受け、しまいには寝食を共にする学校行事に付き合わされ、いくら弔くんの命令といえど、ヴィランらしからぬ行動に私は辟易していた。
「さて、腹も膨れた。皿も洗った。お次はいよいよ肝試しだー!!」
森の中にピクシーボブの声が響いた。
「肝を試す時間だー!!!」
「「「「試すぜー!」」」」
「......悪いが補習連中はこれから俺と授業だ」
肝試しだ、と喜ぶ補習組の横から水を差すようにイレイザーヘッドの声が静かに響いた。嫌がる補習組の身体をすぐに捕縛布で縛り上げ補習組とイレイザーヘッドは施設の方へ消えて行った。
補習組は不参加......。
てことはイレイザーヘッドとブラドキングも施設の中。外にいるプロヒーローはプッシーキャッツの4人のみ。
襲撃のタイミングをじっくり考える。
ピクシーボブの肝試しの説明はこうだった。
まず脅かす側、所謂お化け役先行はB組。私たちA組は2人1組で、3分置きに出発。道に沿ってぐるっと一周して戻ってくる。その道の途中でラグドールが待機してるので、そこで自分の名前が書かれた札を持って帰ってくる
というものだった。
そして、くじで決まった私のペアの相手はデクくんとで、出発は1番最後。
『チッ......』
自分のくじ運の悪さに、くじを握りしめつい舌打ちが出てしまう。
1番最後じゃ、私たちが出発する頃には前半に出発した組がほとんど戻ってきてしまう....
できれば生徒たちにはバラけた状態で作戦決行したいし。
B組の生徒がどこに隠れているか分からない以上、下手に動くことも出来ない。
しょうがない。
私とデクくんが出発する前に、なんとかここから離れて連合のみんなに連絡するしかない。