第21章 林間合宿 2日目
ミスターとの通信を切り、身体に通信機を吸収させたあとすぐに施設の中へ向かった。
「.........何してた。」
『...っっ!』
声が聞こえるまで全く気づかなかった。
何でここに?まさか今の見てたの?壁に凭れかかり腕を組みながらこちらをジッと見るイレイザーヘッド。焦りと緊張が私を襲っていた。
「...もう一度聞こうか、外で何をしてた」
こちらが気圧されるくらいの強い眼差しが私を捕らえた。ここで目を逸らしたら負けだと本能が言う。
『別に何も。眠れなかったので、外に出ただけですよ』
「話してただろ、誰かと。」
...しつこい。
私の笑みは自分でも分かるくらいには引き攣っていた。実際には自分の内側に湧き上がってくる苛立ちを押さえつけるのに必死だった。
......やっぱり見られてた。通信機の事を言わないって事は通信機は見られてないって事だ。通信機は身体に隠したし、証拠は出ない。ここはしらを切るしかない。
『話す?誰と?私は携帯持ってないし───』
吐き捨てるように言い掌を見せ、ズボンのポケットにも手を入れ何も持ってない事を確認させる。
『けどそこまで疑うなら、私の身ぐるみ剥いで怪しい物持ってないか探してみますか?』
まぁ、そんな事は無意味なんだけど。
さらにイレイザーヘッドを信用させるために、服を脱ぎ身体の隅々まで探せばいいと提案するがすぐにイレイザーヘッドが折れた。
「......おい、やめろ。......引き止めて悪かった。」
......勝った。
顔を背けたイレイザーヘッドをよそに、つい口端が上がる。
『じゃあ私、お部屋戻りますね。』
「あぁ。」
イレイザーヘッドの横を通り過ぎ、部屋へ戻った。