第20章 林間合宿 1日目※
「......お前、そういうのはあんまり人前で見せるな。ウチの男どもに見られたらうるせえぞ。」
『え......?』
「ん...」
の方は向かずに前を向いたまま自分の首筋を指すと思い出したかのように、上着を羽織った
「......芦戸と葉隠が、は俺につけられた、と言っていたが......」
『え、私そんな事言ってな......あっ...。』
唇をきゅっと締めて思案顔を続ける
『いや......、もしかしたら相澤先生に見られたかもって無意識に言葉に出ちゃって...。それを芦戸さんが勘違いしたのかと......』
「そうか。」
見られた、と言うのは部屋でコイツが寝ていた時の事か。
結局他の生徒の勘違いじゃねぇか。
缶コーヒーのプルタブに指を引っ掛け口をつけて喉を鳴らした。横から刺さるようなの視線が気になるが、無視してそのままコーヒーを流し込んだ。
『ふふッ』
「なんだよ」
いきなりクスクスと笑い出すを怪訝に思い視線をの方へやった。
『当たり前だけど、先生も人間なんだなぁって。フフッ』
「お前は俺をなんだと思ってる」
椅子の上で膝を抱え三角座りになり、顔を膝に埋めこちらをジッと見てるとバッチリ目が合った。まるで獲物を見る捕食者の様な目に俺は一瞬怯んだ。
『んー、......いつか倒す相手、ですかねぇ。』
考える素振りを見せた後に少し間を開けて、いつか倒す相手、と答えたコイツ。
緑谷や爆豪が普段から言っている、いつかオールマイトさんをも超えるヒーロー、とは明らかに意味が違うように感じるのは俺の気のせいだろうか。
いつか倒す相手、そう言ったの顔は内になにか秘めた様な妖しくも美しい笑みを浮かべていた。
「はっ...お前が俺に勝って超えると?」
『実際、前に勝ったじゃないですか私。』
「アレは錘ありきだろ。調子に乗るな。もう寝ろ。」
『はーい』
羊の皮を被った狼、とはまさにこの事だろうか。今この瞬間、急所に狙いを定め、好機を伺っている捕食者のようなの目に居心地が悪くなった俺は、早くこの場を去りたく部屋へ戻るように促した。