第20章 林間合宿 1日目※
学校に着くと、正門には大きなバスが2台停まっていた。すでにイレイザーヘッドも来ていて生徒もちらほらと集まっている。
「おはよう、さん!昨日のヴィラン騒ぎは大変だったね...無事におうち帰れた?」
『ん....あ、大丈夫だったよ。』
デクくんにヴィラン騒ぎ、と言われ一瞬何のことだっけと思ったがショッピングモール内の件を思い出してすぐにそう答えた。
「えー!も昨日、木椰区ショッピングモール来てたのー!?」
『ちょっと、急用ができ....』
大きな声で聞いてくる芦戸さん。朝からよくそんな大声出せるなと思いつつも咄嗟に嘘を吐いたところで再び、あー!と大声を出す芦戸さん。
今度はなに…?
「のこの匂い知ってるー!リューキュウがプロデュースしてる香水でしょー!?」
首元に顔を寄せスンスンと匂いを嗅ぐ芦戸さんにたじろいでしまう。今朝、乗り気じゃない林間合宿に少しでも気分を上げようとトガちゃんと一緒に買った香水をほんの少し付けていた。
大きな声の芦戸さんにつられる様にして女の子たちがワラワラと集まってきた。
「数量限定のやつですよね?わたくしも気なっていましたの!」
語尾にハートでも付きそうな八百万さん。
「へぇ。いいかも。ウチも買おっかな...」
耳のプラグを弄りながら関心を示す耳郎さん。
「ほんとや、ちゃん、いい匂いするわー」
ふわふわしたような笑顔の麗日さん
「ええ、とってもステキな香りだわ。」
舌先を出し、人差し指を口に当てる蛙水さん
「あー!これ私も知ってるー!男の子ウケもいいってやつー!ちゃん好きな男の子いるのー?」
マグ姉と同じような事を言う葉隠さん。どうしてすぐそういう方向に結びつけたがるのか...
『別にそういうんじゃ...本当にいい匂いと思ったの。』
「フフ、〜!オイラにも嗅がせてくれよ〜!」
「峰田ちゃん、この距離でも十分わかるわよ。」
腰のあたりに抱きつかれそうになった寸前で蛙水さんの舌が峰田くんを拘束した。
「おい、お前ら───」