第17章 ヴィラン連合とおべんきょう※微

『あつひろ......くん？』

俺の名前を復唱するちゃん。

「俺の本名だよ、迫圧紘 」

なるほど、とこくこく頷くちゃん平然を装ってるようだが赤く火照っている耳を俺は見逃さなかった。

「わぁ！！ケーキがありますよ〜仁くん！私はこのタルトがいいのですッ！」

「俺は、このチョコレートがいいぜ！こんな甘ったるいモン食えっか！」

ケーキを見るなり、早速選んでいくトガちゃんとトゥワイス。
やれやれ、と思いながら2人の分のお皿とフォークを用意し2人の前に並べた。


「圧紘くんは食べないのですかぁ？」

「コンプレスも食え！誰が買ってきたんだ？美味しいぜこのケーキ！クソ不味い！」

「ハハ、俺が買ってきたんだっての。......俺はねェ───」

チラリとちゃんを見ると口の端につけたクリームが目に入った。

あぁ......もう今日はそれでいいや。

「あ、莉子ちゃんここにクリーム着いて.....ま.......」

トガちゃんがちゃんの口についたクリームに気づくのとほぼ同じタイミングで
唇をそこに当ててクリームを舐めとった。

あっま......

『っ！！』


「俺はケーキよりこっちの方が好き。ごちそーさん....」

『......っっ』

俺の唇が当てられたところに指を当てて固まるちゃん。

あー、ほんとに可愛いこの子は。

「きゃあッ.....！！」

「コンプレスカッコいいぜ！！くそダセェ！！」

顔を真っ赤にし両手で顔を覆い、指の隙間からこちらを窺うトガちゃんと茶化してくるトゥワイス。

『普通に取ってくれればいいのに.........』

「可愛い子はいじめたくなっちゃうのよ」

小さく呟くちゃんに、笑いながら返す。




口の中はまだ甘かった。