第17章 ヴィラン連合とおべんきょう※微

『ううん、本当にいい匂いすぎてこっちがドキドキしちゃうくらい。』

上目遣いで小豆色の長い髪の毛を耳にかけながらそう言うちゃん。その仕草はまさに性的に女が男を誘ってる時のソレだ。

いやいや、本人は全くその気はねェだろうが世の男はそう捉えちまうだろ......


「ハハ、ちゃん、誰にでもそういう事言っちゃダメだめよ？可愛い女の子にそんな事言われちゃうと、男はみーんな勘違いしちゃうんだから。」

邪念をなんとか振り払い、ちゃんにそう言ってプリントの問題に目をやる。脳をフル回転させ、頭の引き出しを開けていく。

たしかに難しいが、解けない事はねぇ。



「お！俺分かるぜ！！分かるわけネェだろ！こんなの！157だ！ちげーよ85だ！いや273か！？」

「トゥワイス......今計算してんだ...静かにしてくれって...」

俺が考えている間に、メンバー全員がカウンター周辺に集まっていた。横からトゥワイスがあれでもねぇこれでもねぇと数字をずらずら言ってきたのが気になったが、なんとか答を導き出すことが出来た。

「お......解けたぜちゃん。はい、シャーペン持って？」

手袋を外しちゃんの右斜め後ろに立った。やや前屈みになり左手はバーチェアの背もたれに添えて、右手をプリントの数式を指した。

自然とちゃんと身体が近くなり彼女から香水とも果物ともつかない甘い匂いが鼻腔を蕩かす。

チッ......

あぁ、もう。こっちの気もしらねぇで。

「いい？この数字はここに代入ね......そう。んで、こういう時はこの公式を使うのよ、あ、そこ違うよちゃん......そう、それ......」

わざと耳の近くで話せば、公式と数字を書いているちゃんの手がぴたりと止まる。

視線を少しずらせば、耳まで真っ赤になったちゃんの顔。

そんな顔してもダメなのよ......
余計に男を煽るだけだっつーのに。


「......ちゃん、手ェ止まってる......俺の話聞いてる？」

『んッ......みすたッ...耳近いから......』

低い声で囁けば、短く息を漏らし可愛い声を出すちゃんに俺の加虐心を煽る。