第17章 ヴィラン連合とおべんきょう※微
黒霧さんの表情は読み取れないが、死柄木とちゃんをを見ている時、彼の金色の鋭い瞳が少し柔らかい気がする。
「すんごい情報...」
カウンターの内側で黒霧さんが味わうように呟いた。
「ほぉ。じゃあ、そのすんごい情報とやらを先に言え。」
「意地悪してねぇで、レディにあげりゃいいのに」
「俺だったら内容が良かれ悪しかれ、食っちまう」
これまで黙っていた荼毘が口を開いた。こいつはあまりちゃんに興味が無いようだ。
『夏休みね、林間合宿やるんだって。偶然その場所を知ったの。...どお??』
すごいでしょ?と言わんばかりのちゃんの表情。ご褒美を待つ子猫のように大きな目でジッと死柄木を見ている。
何かを考えた後で死柄木が静かに口を開いた。
「....はなまるだ...」
『...!?....あッ...フ.....んぅ...』
死柄木がそう言うと、ちゃんの小さな口にいちごが入れられた。かと思いきやそのまま死柄木は自分の親指をグリグリとちゃんの舌に押し当てていて指についたクリームを拭っていた。
それは、やべぇだろって...
こくりとちゃんの細い喉が艶かしく動く。
「ハッ....えっろ...」
死柄木が親指を抜き、今度は自分の口に含みチュウと吸っていた。
「ごちそーさん、おじさんドギマギしちゃった」
まるで興味が無いように敢えて紳士に振る舞う。
「見せつけやがって...うぜェ」
荼毘は明らかに苛立ちを露わにしていた。
「ちょうど、雄英のガキで勧誘したいやつが1人いるんだ。、その日は逐一スケジュールを報告しろ。そんで掻っ攫う」
『え、やだよ?私、林間合宿なんて行きたくない。トガちゃんと夏満喫するんだから。それに、次の期末テストで赤点があった人は補習地獄だって。』
当たり前のように否定するちゃん。
なんでもはいやります、ではなくちゃんと自分の意思をぶつけるちゃんに好感を持った。
「私もちゃんと一緒に夏を満喫したいのですッ!」
他のメンバーと話していたトガちゃんがこちらに来て、ちゃんの隣に立つ。女子高生2人が並んで、あくまでも自分らのリーダーに逆らう2人の様子に不覚にも吹き出しそうになった。