第16章 デクくんとおべんきょう
デクくんと下駄箱で別れ、朝イレイザーヘッドに言われた制服を職員室へ取りに行こうと、来た道を戻る。
はぁ。
1時間以上2人きりで過ごしたことにドッと疲れが出てきた。
デクくんと、オールマイトの個性が見えないのは無関係......か。
USJ襲撃前に先生が、オールマイトの力は弱まっているって言ってたけどそれと関係があるのだろうか。
廊下は薄暗く、他の生徒は残っていなかった。職員室から光が漏れていてまだ誰からしら残っているのだろうと、足早に職員室へ向かう。
ドアをノックしようとしたところでその手を止めた。中から声が聞こえてくる。息を潜めて中の声に耳を澄ます。
「林間合宿の場所が変わった?」
「あぁ。情報がヴィラン側に漏れている事を警戒しての処置だ。この事は学校内でも上層部しか知らない。他言無用で頼む。生徒たちにもだ。」
「わかった。場所は」
「プッシーキャッツの......私有地の.....合宿所......そう......そこだ」
声の主は、イレイザーヘッドと、B組の担任だ。
林間合宿の、場所が変わった......か。
正確な場所は聞こえなかったが、プッシーキャッツ......?プロヒーローの名前だろうか。
その、プッシーキャッツの私有地、だけでも有益すぎる情報だ。
あとはドクターなり先生が調べ上げてくれるだろう。
自然と口角が上がる。
これは弔くんが喜びそうだ...
私は本来の目的である制服の事などすっかり忘れて、その場から逃げるようにして帰路についた。