第13章 ヒーロー殺し
保須事件の翌日、私は新聞を見てギョッとした。
『弔くん!映ってる!私たち!ほら!ねえ!見て!ここ!ほら!見てよ!』
カウンターをバンバンと叩き新聞を広げ、自分でもしつこいだろうなと思いながらも、ゆびを指して弔くんに見せる。
「黙れ、お前は後ろ姿だけじゃねーか。そんなの映ってるうちに入んねーんだよ」
新聞には高架水槽の上に立つ弔くんと黒霧、そしてその淵に座る、キャットスーツを着た私の後ろ姿がバッチリ写真に収まってた。
『あ......』
私はその写真の下に大きく書かれた見出しに自然と目がいく。
''エンデヴァーお見事!敵を制する''
記事を読むとNo.2ヒーロー、エンデヴァーがヒーロー殺しを倒したという内容だった。
あれ?倒したのはあの3人でしょ?
『ねえ、この記事おかしい。私昨日、クラスの子達がヒーロー殺しを倒すところ見たんだけど。』
記事をゆび指しながら黒霧に見せた。
「それはおそらく彼らがまだ資格未取得者、だからではないでしょうか。プロヒーローの指示なく、個性で危害を加える事は、一応ヒーローとしては規則違反になるので。」
黒霧が慣れた手つきでグラスを拭きながら丁寧に説明してくれた。
『てことは、この3人が犯した違反はNo.2ヒーローを功労者として立てることで、握りつぶせるってわけだ。』
ずるいねぇヒーローは、と付け加えてもう一度新聞に目をやった。
「チッ......んなことはどうでもいいだろ...」
いつになく苛立ちを露わにする弔くん。
『あ、弔くんテレビも新聞もヒーロー殺しばっかだだから嫉妬してるんだ?』
「だってそうだろ、ヒーロー殺しヒーロー殺しって......脳無は二の次かよ......」
私が持っていた新聞を奪い取り、ぐしゃぐしゃと、音を立てて丸め投げ捨てる弔くん。
『あっ......私の初スクープが.........』
取り上げられた新聞を取り返そうと、手を伸ばすがその手は虚しくも空を切る
「、そろそろ学校の時間では?」
時計を見てもうこんな時間と焦った。
『あ、大変。行ってくるね、弔くん、黒霧』
そういえば今日もテストだったなと思いながら、私はアジトを出た。