第13章 ヒーロー殺し
外に出れば既に夕陽は不気味なくらいに血のように赤く染まっていた。
早く弔くんと黒霧の元へ帰りたかった私は、ビルの屋上から屋上へ転々と飛び回り移動した。
その途中視界の端に見えた大型ビジョンに映し出されている、
保須市再びヒーロー殺しか、の見出しと、
インゲニウムという男のヒーローの顔写真。
私はヒーロー殺しの文字よりも、インゲニウムという男の顔に既視感を覚えた。
あの顔どっかで見たような...
どこだっけ.........
『まぁ、いっか。』
そんな大したことじゃないんだろうと思いながらも私はアジトへ急いだ。
『弔くん!黒霧!ただいっ.......ま......?』
カランコロンカランコロンとドアベルのけたたましい音を響かせながら、私は勢いよくドアを開けた。
そこにいたのはこちらを鬼のような形相で振り返った、血のように赤い巻物をつけ、全身に刃物を携帯した男とその男に押し倒されている弔くん。
バーカウンターの内側で、テーブルに肘をつき苦しそうにしている黒霧。
2人とも斬られたのかかなりの血を流していた。
「いってえ......強すぎだろ......」
半分笑っているのか弔くんの震えるような声が聞こえた。
私はドアベルが鳴り止むより前に、考えるより先に真っ先に身体が動いていた。
『どいてよっっ............!!!』
地面を蹴り男の元へ一直線へ駆け出した。
薙ぎ払った右足は男の頬にうまく入り、弔くんから引き離す。
「うぅ......!」
すかさず男も携帯していた刀を私の左肩に向け、着ていた制服のブレザーとワイシャツを貫通し肌を突き刺した。が血は出てない。