第5章 異変のエンド
「え?」
急に何を言い出すんだと言いたげな顔でぼんはこちらをじっと見据えた。俺は本気だった。
「このエンド、なんかおかしいし、シティの方も普通じゃないのかと思って」
と俺が言葉を付け足すと、ああ、なるほどねとぼんは上体だけ起こした。
「じゃあ見に行こう見に行こう」とぼんが頭を下げるので、俺はなんでと問いかけた。「え、だって一人じゃ寂しいじゃん」
「ああ、なるほど……」
とはいえ、自分はいつも一人でエンドラ討伐してきたんだけどな、と俺は思ったが言葉にはせず、ぼんに言われるがままその頭に跨った。っていうか長い首に乗ったって感じなんだけど。
「よっしゃあ、行くぜ!」
俺が乗ると、先程まで眠そうにダラダラとしていたフェニックスとは思えない程元気な声でぼんは翼を広げた。やっぱりこうして見てもエンドラみたいだなと思う。見た目がちょっとだけ紫ってこと以外は。
ぼんは俺を乗せてあっという間に空へ飛んだ。風がひんやりとしていて、もう少し高く飛べば天井にある星みたいなものに手が届くんじゃないかと錯覚するくらいだった。
それから後方を見やると、さっきまでいたエンドの島はもう小さくなっていた。本来ならあの島からかなり離れないと他の島に辿り着かないはずだ。首の上もそんなに安定はしていなかったので、真下に見える奈落の底に落ちないように姿勢を低くしてぼんの体にしがみついた。
「そういえばさ」だいぶ真っ暗な空間を飛び続けていた途中、ぼんが急に話を切り出した。「そっちの名前はなんなの? いつまでも、アナタだの人間だのと呼びたくはないんだけど」
「俺はおんりー」
「へぇ、おんりー……おんりーちゃんか」
なぜわざわざ「ちゃん」が付いたのかはよく分からないが、巨躯のぼんからしたら俺は小さく見えるだろうし、そういう呼び方になるんだろうと思うことにした。