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紫の瞳をしたラスボスは今日も怠惰を謳歌する

第5章 異変のエンド


「ねぇ、おんりーちゃんはさ、よくエンドに来るの?」
 最初に会った時からそうだったが、このフェニックス、どうもお喋りだ。こんなのラスボスらしくないなと思ったが、フェニックスってどこかのラスボスなのだろうかと考えるとキリがないので俺は頭を使うのを一旦やめることにした。
「まぁまぁ来る方かな」
 他の人よりは、頻繁に来るかなーなんて考えながら。
「へぇ、だからエンドに詳しいんだ」
「そういうぼんさんだって、どこから来たの?」
「俺はネザーから来たのよ」
「ネザーから?」
「そ、ネザー」
 ぼんはそう言って忙しなく翼を動かし続けている。話の内容なんてなんの気もないというかのように。
 だが俺はますます疑問に思った。ネザーでフェニックスなんて見たことがない。こんなに大きな体をしているMOBがいたのなら遠目からでも分かるはずなのに。
「ネザーもよく行くのに、他のフェニックスも見たことなかったんだけどな」
 と俺が言うと、そりゃあねとぼんがこう説明してきた。
「フェニックスは普段はマグマの中に溶け込んでいるのよ。こうやって人間に姿が見られるのはそんなにないと思う」
「ふぅん……」
 それがこの世界の隠し要素だったのだろうか。何年も前からこの世界のことは知っていたはずだけれど、そんな話は聞いたことがなかった。それとも、次のアップデートで追加される予定でもあるのだろうか。
「あ、あれだよね?」
 とぼんが言ったので向こうに視線を投げると、新たなエンドの島が見えてきて、コーラスフルーツが実る怪しげな植物がぽつぽつと生えているのが分かった。
 いつ見ても変な植物だなぁとぼんの体の真下に流れていくその景色を眺めていると、やがて建造物が見えてきて俺は顔を上げた。
「エンドシティだ」
 案外早かったな、と思いながら俺は呟いた。しかもシップ付きだ。
「中に入れそう?」
 ぼんが少し頭を上げてそう訊ねた。
「ここからなら入れそう」
 俺は、屋上の階段を見ながら答えた。
「じゃあそこに下りるわ」
 ぼんはゆっくりと旋回しながら、エンドシティに下り立った。
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