第4章 ぼんの正体
「えっ……」
俺はその声しか出てこなかった。
しかし、たった今自分のことをフェニックスと名乗ったそいつは、スラスラと淀みなく身の上話をし始めたのだ。
「まぁ確かに、こんな黒いフェニックスなんて初めて見るかもしれないけどさ。俺だって好きでこんな色になった訳じゃないんだよね。だって生まれた時から紫褐色のフェニックスだったんだから」
言われてみれば、確かにフェニックスの体は紫光りする黒い鱗に覆われていて、エンドラのように真っ黒という訳ではない。だけど翼はドラゴンっぽいし、牙もあるんだから誰もがエンドラだと言うじゃないか。何よりこんな場所にいたら。
「じゃあ……なんでここにいたの?」
俺は気を取り直して更に質問を投げてみた。それはね、とフェニックスは声を低くしてぽつんとこう答えた。
「俺のことを、エンドラみたいだとみんなが言うからだよ」
「ああ……」
それはどこかで聞いた事ある話によく似ていた。周りからまるで悪魔みたいな人だと言われ続け、本当に悪魔になってしまったよくある話の。
フェニックスは言葉を続けなかった。何か悲しいことを思い出したのか、頭を地面に下ろして目を閉じる。こんな気弱なラスボスを俺は倒せるだろうか。俺は、握っていた斧の柄を強く握り、それから諦めてそれを地面に置いた。