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紫の瞳をしたラスボスは今日も怠惰を謳歌する

第2章 驚きの出会い方


「……え?」
 俺は状況が飲めずにその場で立ち尽くした。
 そうしている内に、真ん中で体を丸めて眠りこけていたそいつがゆっくりと動き出した。俺はすぐに気を持ち直して斧を握り締めたが、そいつの第一声にまたもや気が抜けることとなる。
「もう少し寝かせてよ……ふわぁ……」
 それからそいつは大きく欠伸をし、再び頭を地面に下ろす。エンドラの口なんてよく見たことなかったけど、あんなに何本もの鋭い牙があったんだな、と観察している場合じゃなくて。
「ねぇ、戦わないの?」
「ん……?」
 俺の問いにエンドラは頭をもう一度持ち上げて目を見開いた。そこには紫色の瞳が覗いて、俺の姿を真っ直ぐと捉えた。
「うわぁ、誰だれ?! なんでこんなところに人間がいるのよ?!」
 エンドラはそう喚きながら飛び上がった。そうしてエンドラが羽ばたいて巻き起こした風は体ごと吹き飛ばす程で、俺はグッと足に力を込めて踏ん張った。
 一方のエンドラは怯え過ぎて一番高い黒曜石の柱の上に留まった。エンドクリスタルを避けて留まれるなら、いつもそうして立ち回れば誤爆に巻き込まれることもないだろうなと思った。
「とりあえずクリスタル壊すけどいいよね?」
 エンドラに許可を聞く必要もないんだろうけど。一応俺がそう聞くと、エンドラが首を伸ばして頭を傾けた。
「え、クリスタル? 別にいいけど……」
 エンドラにとってクリスタルがないと困るんじゃないのか。しかしエンドラは気にする様子なくそう答えた。
 なんなんだ、このエンドラは。いうて最初からこうやって話が出来てる時点でいつものエンドラ討伐とは違うのだが、ここのラスボスを倒さないとここから出られないのでやるしかない。
「そこ、避けた方がいいよ」
「え、ここ?」
「そう、クリスタルがあるから」
「あ、そうなんだ」
 俺の提案に躊躇うことなくエンドラは黒曜石の柱から飛び立つ。今から倒されますってラスボスらしくない。まぁどうでもいいんだけどね。
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