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紫の瞳をしたラスボスは今日も怠惰を謳歌する

第9章 リセットボタン


 それでも構わずぼんさんは話を続けた。
「おんりーちゃんの話し方からして、ここで死んだらもう二度と同じエンドには来られないんでしょ?」とぼんさんは言う。「ということは、出口があったら、またおんりーちゃんと会えるってことよね? 違う?」
 あ、気付かれていたのか。俺が敢えて黙っていたこと。
 俺は渡された斧を受け取ったものの答えずに沈黙を守った。ぼんさんはさらに言葉を続ける。
「ここにエンドラがいない理由って、俺がここに来たからじゃない? そうとしか考えられないんだよねぇ……はははっ、迷子になって回ってきたツケがこれなんて酷いなぁ」
 それからぼんさんはだらりと首も翼も垂れ下げて地面に伏せた。そうすることで俺は見上げなくてもその顔を見ることが出来るようになったが、ぼんさんはそんな俺に目もくれずに紫の瞳をゆっくりと閉じて息を大きく吐いた。
 よく考えればこのフェニックス、最初に会った時からこんな感じだった。体力がないのか、眠いのか。
 フェニックスの証でもある長い尾もいつの間にか体の真下に折り畳んでおり、こうして見るとまるでエンドラ……というよりは、黒い塊かのようなそれは、口をわずかに開けてぽつりぽつりと話し出した。
「俺はもうダメなのよ。フェニックスと呼べないくらい疲れやすくて」とぼんさんは話す。「今ならベット爆破一つで死ぬくらいの体力しかないかも。ずっと寝てたんだけど、全然回復しなくて」
「フェニックスにも、体力があるんですか?」
「あるある。それに俺は、もう歳だし」
 フェニックスにも歳がある、なんて言い方があるなんて正直俺は思わなかった。不死鳥って書くくらいなんだから、永遠にその命が続くように、死とは遠い存在なのかと考えていたから。
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