• テキストサイズ

紫の瞳をしたラスボスは今日も怠惰を謳歌する

第8章 一緒に


 それから俺たちは、最初の島に戻ってきていた。
 このエンドの不気味さは、先程いた島もそうだったが、エンダーマンがいないくらいだった。しんっと静かで、少しだけ寒くて、空がよく見える黒曜石の柱の上に、俺は立っていた。
 俺の背中にはエリトラがある。
 ぼんさんはエリトラを初めて見るのか、興味津々に色々と聞いてきた。俺は一つずつ説明し、これなら一緒に並んで飛べると言うと、ぼんさんは嬉しそうに笑ってくれた。ぼんさんの笑った声に俺は思わずつられてしまい、一緒に笑い合った。これが最後なのも悪くないかも、なんて考えながら。
「よし、行くよ?」
 ぼんさんはそう言って隣の黒曜石の柱からふわりと飛び立った。一瞬で開くぼんさんの翼に見取れながら俺も黒曜石から飛び下りると、エリトラが開いて空を滑空した。
 花火を持っていなかったから俺は落下するだけしかなかったのだが、ぼんさんは横で合わせるように並んで一緒に飛んだ。目を合わせるとその紫の瞳が細く伸びて、俺はドキリとしてしまった。
 それは瞬く間に終わってしまって俺の足がエンドの地を踏むと、同時に目の前にぼんさんが下りて来て冷たい風がわずかに舞い上がった。体の大きさの割には静かに着地するぼんさんに俺はまた見取れてしまいそうになりながら。
「誰かと一緒に並んで飛ぶなんて初めてだわ。ずっとマグマにいたし」
 首をゆっくりと下ろし、俺の顔を覗き込んだぼんさんがそう言った。こんな人懐っこいフェニックスに離れがたさを感じて俺は慌てて目を逸らす。しかし、ぼんさんはそれを見逃してはくれなかったみたいだ。
/ 27ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp