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あの頃の私達は【呪術廻戦】

第1章  報われない(五条/夏油夢)





 「―――――綺麗だ」





 思わず口をついて出た言葉。

 釘付けになるほど。
 只々、見惚れた。


 「夕焼けに見惚れてるんじゃない!私の話、わかった??」

 いや、さくらに見惚れてたんだが。
 そんなこと、やはり言えるわけもなく…


 「わかったよ」

 そう返事をするとさくらは安心したのか、柔らかい笑みをこぼした。


 さくらが愛しい
 さくら好きだ 

 ただただ、君が欲しい


 無意識にさくらに手を伸ばす―――







 「はい!この話はおーしまい!!」

 さくらはそう言うと私の顔からパッと手を離し、くるりと踵を返し皆が集うゲームセンターの入口へ向かって歩き出す。

 行き場を失った私の両腕は虚しく空を切る。


 「夏油!みんなのとこに行こー!
 私、マック食べたい!マックー!」


 私に手招きするさくらは、いつものクラスメートのさくらにあっという間に戻っていた。


 「はーやーくー!」

 「はぁ、…今行くよ」


 不燃焼な想いが燻るものの、さくらの笑顔で何もかも相殺させてしまう自分にホトホト呆れたものだ。



「…報われないなあ」


―――――当分、この恋に苦しめられる他なさそうだ。




 〜おまけ〜


 「わーん!私もマック食べたかったのにー!」

 「泣いたフリしてんじゃねーよ!傑に賭けたさくらの負けだバーカ」


 格ゲーに負けた私は、硝子と悟にマックを奢る羽目に。賭けに負けた後輩達とさくらは罰ゲームでマックは食べれずにいる。後輩達は硝子の、さくらは悟の肩を揉んでいる。


 「ほら、勝者にあーんしよろさくら〜」

 「ムカツクー!口開けろー!」

 「アーン…って痛ッ」

 「悟、調子乗り過ぎ」


 私は悟の頭にチョップを落とす。
悟、色んな意味で少し遠慮を覚えたらどうだ?!


 「そんなん知らねー、よっと!」

 「「「「「?!」」」」」

 悟はさくらの手を取り、ポテトを持つ彼女の指ごとぱくっと食べた。

 勝ち誇る悟、赤らむさくら、呆れる硝子、凍りつく後輩達、そして…


 「表に出ようか、悟」


―――私がブチギレるまで、あと少し。


《報われない》夏油視点 終
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