第1章 1.
視線を先輩にとられて見つめている…というか、固まっているとふと目が合ってしまった。
あ、私なんかに見られて、絶対嫌だった…!!
そう思って焦って視線をそらすと、
「あっ…、ねぇ!」
と声をかけられた。
私なんかが、返事をしてしまっていいんだろうか。
いや、でも返事がないとおかしい。
「はっ、…はいっ…」
目を見る事は難しいけど、かかる前髪越しに先輩の方を見る。
「ねぇ、男子バレーボール部のマネージャーやらない?昔は強豪で、全国にも行ったことがあるんだけど…」
「あっ…、えっと…」
キレイな先輩が話している
それだけでも私にとっては緊張する要素で、ドギマギしてしまう。
うまく、返事ができない。
「それで、どうかな?仮入部。」
「えっ、あ、はいっ」
「本当!?嬉しい!じゃあ、放課後迎えに行くね!何組?」
「あっ…えっと…4組で、す。」
「わかった。またね!」
しまった…。
いや、良かった…のかな…。
流れで返事をしてしまい、仮入部することになってしまった。
私なんかが、いいんだろうか。
あれ、それよりも…
こんなに普通に私と会話してくれた人は、いつぶりだろう…。