第10章 【安室 透】聖夜の誓い
さんと付き合って初めてのクリスマス。
テーマパークや、イルミネーションも捨て難いが・・・
家で彼女と一緒に少し凝ったご飯やケーキを作って、一緒に食べて、まったり過ごすことにした。
「楽しみだね」と毎日のように話すが可愛くて愛おしくて。
2人で指折り数えていたのだが・・・。
「24、25。ターゲットを尾行しろ」
「・・・2日間、ですか?」
「そうだ。まずいことでもあるのか?」
「いえ・・・、了解です」
クリスマス当日まで1週間に迫った深夜、ジンから任務の連絡が来た。
よりによって、12月24日と25日。
嫌がらせとしか思えない。
人の幸せを奪い取る気か?
逆らうと疑われてしまうので、受け入れるほかなかった。
「え・・・クリスマス、会えないんですか?」
仕事が入ってしまったと伝えた時の彼女の悲しそうな顔が頭から離れない。
楽しみにしていたのに・・・君を優先してあげられなくてごめん。
23日でも良いと承諾してくれると思っていた。
さんならわかってくれる・・・と、甘えていたんだ。
「23日なら・・・会わなくて、いいです・・・」
頭を殴られたような衝撃が全身を貫く。
彼女に拒否されるのは初めてで、情けないことに言葉が出なかった。
その日から・・・毎日取り合っていた連絡がなくなり、心にポッカリ穴が空いたような感覚に襲われた。
僕は嫌われてしまったのだろうか。
あの楽しかった日々は、もう訪れないのだろうか。
どうにか25日を空けられるよう、それとなくベルモットに相談し数日前から任務を遂行した。
これでクリスマスにデートができる。
と喜んだのも束の間・・・さんに連絡をしても繋がらない。返事が来ない。既読にもならない。
何かあったのでは・・・と、彼女の家やポアロ、街を探し回った。