第1章 【降谷 零】合コン
「ッ・・・」
「きゃっ・・・!!」
の部屋に入った瞬間、彼女を強く抱きしめた。
会いたかった。
子供ながらに探していた。
俺の初恋の人。
ずっと恋焦がれていた女の子に10年ぶりに再会したのに・・・まさかその場所が合コンとは。
仲間の付き添いでたまに参加しているが、特に恋人を探しているわけではないので女性には興味を持たない。
本当は今日は面倒で断ろうしていたのを萩原に猛烈に説得され、渋々参加したのだ。
結果、説得してくれた萩原に感謝だな。
10年前とは身長も顔付きも違う。
しかし、纏う雰囲気があの頃と変わらないそのものだった。
こんなに・・・綺麗になって・・・。
秘めていた想いが、ぶわっと溢れるのを感じた。
はよく、合コンに行っているのだろうか。
酔っ払って顔を赤くし、目を潤ませて男共を無意識に誘っているのだろうか。
つい、「男と呑みに行くな」という本音が漏れてしまった。
恋人でもないのに何を言っているんだ。
少し身体を離してを見る。
ほら、その表情。
にその気がなくても、男は誘われていると思ってしまう。
自分から抱きしめてしまったが、これ以上密着しているとやばそうなので離れることにした。
「ダメだろ?夜に恋人でもない男を部屋に入れたら。・・・誘われたと思われても文句言えないぞ?」
「・・・・・・・・・」
「・・・コーヒーはまた今度な。早く寝ろよ?」
俯いてしまったを見て、気分を悪くしたかと先程の発言を後悔した。
でも、このままだと俺はコーヒーを飲むだけでは済まないし、きっと他の男も同じだろう。
また後日、カフェで会う時間を設ければいい。
今日は俺も酔っているし、理性があるうちに帰ろうとドアノブに手を掛けた。
「・・・誘ってるよ」
「え?」
「零が好きだから・・・・・・誘ってる」
「ッ・・・!!!」
その言葉に先程離した身体を再び強く抱きしめた。
そんなことを言われたら、いくら大事な幼馴染だろうと我慢してやれない。
好きな人の誘いを断って平気な顔で帰る術など、俺は知らない。