第1章 【降谷 零】合コン
「じゃーな!ちゃんと戸締りしろよ!」
「え、あ・・・待って!」
「あ?」
あー・・・・・・どうしよう。
何も考えずに呼び止めてしまった。
零の視線が痛い。
呼び止めておいて「何でもない」なんて言っても、深く追求されてしまう。
まだお酒が残っている、ふわふわした頭で必死に考える。
「あ、あの・・・コーヒー、飲んでいかない?」
「・・・・・・は?」
「食後のコーヒー!!送ってもらったお礼に美味しいの淹れるよ!あ、コーヒー苦手?紅茶がいい?」
頑張って出した言葉に「は?」って・・・!!!
零のキョトン顔に焦り、何とか引き止めようと理由を並べる。
えーっと・・・零の好きな物って何だったっけ・・・・・・あ!セロリ!?
・・・いや、セロリなんて家にないよ・・・。
「大した物ないんだけどさ・・・、私が引っ越した後の話とか、警察学校の話とか・・・聞きたいなーって、思って・・・」
これらを聞きたいのは事実だ。
次会った時に聞けば良いのだろうけど本当に"次"があるか、わからないから。
もう、後悔したくないから。
「零・・・あの・・・」
「ふっ・・・、まさかに誘われるとはな。
じゃ、せっかくだし、コーヒーご馳走になるよ」
「・・・うん!どうぞ」
零の返事にホッと安堵した。
断られたら一晩落ち込んで眠れなかったかもしれない。
ドアを開けて零を招き入れた。