第9章 【降谷 零】私のヒーロー
暗い部屋に2人、沈黙が訪れる。
消灯時間を過ぎたら電気を付けられないし
声もなるべく抑えなければいけない。
自分の部屋に降谷くんが来るなんて
想像もしたことがなかった。
彼は今、どんな表情をしているのだろう。
「さん・・・
眠かったら寝ていいからな?
疲れてるだろうし・・・僕、離れてるから」
「う、ううん!眠くは、ないよ・・・。
降谷くんこそ疲れてるよね・・・ごめんね」
「はははっ。もう謝らなくていいよ。
僕は・・・さんの部屋で
2人きりになれて嬉しいって、思ってる」
嬉しいだなんて・・・・・・
そんなこといわれたら勘違いしちゃうよ。
暗闇に目が慣れてきて、降谷くんが切なそうに
私を見ているのがわかった。
「好きだよ」
「・・・・・・えっ?」
「好きだよ・・・さん・・・
僕が君のことを守りたい」
「降谷くん・・・・・・
私も・・・降谷くんが、好き・・・っ」
言い終わった時には彼の腕の中に
すっぽり収まっていた。
先程感じた安心感。
これから、この腕の中で守ってくれるんだ。
大きな手でゆっくり頭を撫でられる。
ずっとこうしていたい・・・。
「さん・・・。
さっき触れられた所、僕が上書きしたい。
忘れさせたい・・・」
「ふ、降谷くん・・・・・・恥ずかしいよ・・・」
「許せないんだ。
さんに触れるのは僕だけがいい」
「んッ・・・降谷く・・・!!」
首元に彼の顔が近付いてきて
ペロッと舐められた。
熱い吐息と舌の感触に
背筋がゾクゾクと震える
ゆっくり、ゆっくり・・・首筋から耳を
舐められ、唇も舌先でなぞられて。
それからは、ちゅっ・・・と小さな音を立てて
頭が、ぼぅっとするほど何度も唇を合わせた。
頭や背中を撫でてくれる手も気持ち良くて
私の手も自然と首に回る。
「ん・・・あ、んっ・・・・・・」
「・・・可愛い・・・さん・・・・・・
僕のことだけを見て・・・」
「あぁっ・・・・・・んぅ・・・ッ」
耳元で名前を囁かれて、先程よりも
ゾクゾクとした感覚が全身を震わせる。
低くて艶めいた声に身体全部が
性感帯になったようだ。