第9章 【降谷 零】私のヒーロー
「さん!!ッ・・・・・・」
ヒロたちに犯人を任せてさんの元へ
駆け寄ると、手と口を拘束され
服がはだけて下着や肌が見えていた。
不謹慎にもドキッとして気持ちが昂って
しまったが、目を逸らしてTシャツの上に
着ていた自分のシャツを彼女に掛けた。
「拘束解くから・・・そのままで」
「・・・・・・」
俯いて涙を流すさんを
どうしようもなく抱きしめたくなった。
しかし、犯人に襲われて傷ついている彼女を
恋人でもない自分が触れてもいいものか・・・。
「取れたよ・・・。怪我は、ない?」
「うん・・・・・・ありがとう・・・・・・ごめんね。
情けないね。警察官なのに、こんな・・・」
「さん・・・・・・
無事で・・・よかった・・・!!!」
「ふる、や、くん・・・ッ・・・うぅ・・・」
「怖かったな・・・・・・もう、大丈夫だから・・・」
気持ちが抑えられずさんをそっと包み込むと
彼女は僕の腕の中に身を寄せてくれた。
小さいな・・・。
こんな華奢な身体で警察官として訓練を毎日
頑張っているんだ。
お互いに人や街を守っていく立場だが・・・
彼女は僕が守りたい。
僕の胸に顔を埋めているさんを
覗き込んで、視線を合わせた。
「さん・・・・・・僕・・・」
「・・・降谷くん・・・・・・」
「っ!!!」
「あ・・・美波・・・・・・」
「・・・・・・」
「大丈夫!?怪我してない!?
何されたの!?」
僕が聞けなかったことを気にせずにぶつけていて
すごい迫力だ。
さんも僕より友達の方が
安心して話せるよな。
「じゃあ、僕は先に・・・
「降谷くん、今からみんな事情聴取受けるって。
それが終わったらを部屋まで届けてね?」
「え?・・・いい、けど・・・
さんは、僕で大丈夫?」
「えっ・・・あ・・・うん・・・。
よろしくお願いします・・・」
さんの友達の粋な計らいで
まだ一緒にいられることになった。
持つべきものは彼女の親友だな。