第9章 【降谷 零】私のヒーロー
----*----*----*----*
「話しかけられない?普通に話せばいいのよ!
おはよー!とかお疲れー!とか」
「そんな・・・美波みたいに気軽に
言えないんだよー・・・」
「噂をしてたら来たよ!
ほら、お疲れーだよ!お疲れー!」
「え、えっ・・・ちょっと待ってよ・・・!!」
降谷くんたち5人がぞろぞろと食堂に入ってくる。
「チャンスだよ!」と美波が背中を押して
くれるが、みんなの前で話し掛けるのは
私にはハードルが高かった。
「萩原くんお疲れー!」
「おう!お疲れ!」
いや、もう付き合っちゃいなよ。
美波に羨望の視線を向けつつ
チラッと降谷くんを盗み見ると
こちらに背を向けて座っていた。
後ろ姿もかっこいい・・・。
「なぁ降谷。
見た目からしてペラペラなんだろ?英語」
「まぁ・・・それなりには」
「さすが金髪のハーフ!
教官より英語できんじゃね!?」
近くに座っている人が降谷くんを
楽しそうにイジっている。
・・・金髪、金髪って・・・・・・かっこいいじゃん。
って言えればいいんだけど。
人を見た目で決めつけるのって
いい気分しないな。
降谷くんはイジられても何も言わないから
伊達くんが代わりに注意してくれているのを
見るとスカッとする。
「「「「えええーーー!?」」」」
え、何?
4人が伊達くんに向かって驚いている。
みんな同じような顔して・・・どうしたんだろ。
「!何事か聞いてこよ!」
「えっ?そんな図々しいことしない方が・・・」
「いいから早く!!」
美波に強引に手を引っ張られ
降谷くんたちのテーブルに来てしまった。
伊達くんに向いていた4人の視線がこちらに移る。
野次馬みたいで申し訳ないけど
降谷くんの近くに行けるのは正直嬉しい。
また目が合ってドキッと心臓が跳ねた。
「ねぇねぇ、大声出してどうしたの?」
「あ、あぁ・・・いや・・・班長が・・・
彼女いるって言うからよ・・・」
「そうなのー?わかるー!!
彼女持ちのイメージあったよね!?」
「うん・・・たしかにわかる!」