第1章 【降谷 零】合コン
ヒロくんの言葉を遮るように、零が私の傍に来た。
こうやって並ぶと零の身長がかなり伸びたことがわかる。
私より少し大きいくらいだったのに・・・こんなに見上げる形になってしまった。
私の知らない・・・降谷零だ。
「い、いいよ。1人で帰れるから・・・みんなでカラオケ楽しんできて」
────行かないで。
本当は一緒にいたい。もっと話がしたい。
大人になった零の顔をよく見たい。
もっと・・・私を見てほしいよ。
零の目を見ていたら涙が出そうになってしまい咄嗟に俯いた。
しかし、手首を掴まれたことで驚いて再び顔を上げると、零が優しく微笑んでいた。
「ほら、。帰るぞ」
「・・・・・・うん」
まるで子供の頃に戻ったみたいだ。
いつも我儘で泣き虫な私の手を引いて、連れて帰ってくれた。
この手が大好きだった。
零の暖かい手が心に沁みるよ。
「じゃー俺たち先帰るな」
「ゼロ、送り狼になるなよ!」
「う、うっせー!!バカヤロー!!」
揶揄われて照れてる。可愛い。
顔を赤くしてそっぽを向いてしまったが、私の手首を掴む手は離さずに歩いてくれた。
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「具合、大丈夫か?気持ち悪いとか」
「ううん、大丈夫。冷たい空気で少し酔い醒めたよ」
零は手を離さず無言のまま電車に乗り、私の家まで連れてきてくれた。
話したいことは色々あったけど、何も言葉を発しなくても心地良い空間だった。
・・・もうお別れか。
また今度、会ってくれるかな。
「・・・俺んち、ここから割と近いからまた今度飲もうぜ」
「!!うんっ!」
零から誘ってくれるなんて。
また私に会いたい・・・と、零も思ってくれたのだろうか。
これが最後ではないことが嬉しくて頬が緩んだ。
「あ、さ・・・あんまり男と呑みに行くなよ?」
「え?何で?」
「何でって・・・・・・。酔った時の顔が・・・可愛すぎるから」
・・・・・・・・・え?
可愛い?私の顔が可愛いって言った・・・?
零の顔を見ると、さっき揶揄われた時と同じように照れて赤くなっていた。