第8章 【安室 透】好きな人
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自分の脚に跨らせ向かい合ってお湯に浸かる。
離れて座りたいと言われたがそれは却下した。
の可愛い顔を見ながら
先程できなかったキスを気の済むまでする。
ちゅっ、ちゅっ・・・と唇が重なる音
の吐息、漏れる声、触れ合う身体・・・
感じるもの全てが心地良く、欲望が再び動き出す。
「ん・・・ふ、んんっ・・・もう・・・やん・・・
透さん・・・!」
「が誘うからですよ・・・
今まで何人の男を誘惑してきたんですか」
「や、んぁッ・・・誘ってな・・・っん・・・ふ・・・」
「会いに行ったんでしょう?
・・・好きな男に」
自分で質問を投げたくせに答えられないよう
口を塞ぐように唇を強く押し付ける。
グチュグチュ・・・と舌を激しく絡ませたり
唇で挟み強く吸ったり
息ができないほど攻め続けた。
とうとう苦しさで耐えられなくなったのか
が僕の肩や胸を叩いてきたので
渋々離して銀の糸を繋いだ。
「ッ・・・はぁっ、はぁっ・・・はぁ・・・ちょ・・・はッ・・・
何なんですか・・・聞いておいて・・・」
「・・・・・・その顔、あの男にも見せてるんですか」
「あの、男って・・・・・・誰ですか」
「とぼけなくて良いですよ、知ってるので。
会いに行ったんですよね?本命の・・・沖矢昴に」
昨日はお互い休みだったから朝から誘ったのに
"予定があるので夕方に行きます"と返ってきた。
こちらは休みを丸一日空けているというのに
"予定"とは何だ。
俺以外に大切な"予定"とは・・・?
気になるが聞けない。
僕たちはそれを聞いていい関係ではない。
しかし居ても立っても居られず彼女の後を付けた。
見たことのない花柄のワンピースを着て
手土産の紙袋を持って。
工藤邸に・・・沖矢昴の住む家に入っていくのを見た。
「え、透さん・・・・・・もしかして見たんですか?」
「・・・はい。たまたまですけど。
わかりやすいですよね。
嬉しそうな顔してましたよ」
「あー・・・・・・そこまで見られたんですか・・・」
「・・・・・・僕たちの関係・・・・・・
終わりにするんですか?」