第7章 【降谷 零】初体験
「・・・・・・あの、さん・・・」
「あっごめん・・・」
「え・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・あ!ごめんって断るってことじゃなくて」
焦った。一瞬マジで心臓が止まった気がする。
格好悪いな。こんなんで焦って・・・。
「ごめん・・・じゃなくて!ありがとう!!好きでいてくれたの知らなくてびっくりしちゃった」
「はは・・・ですよね。
真面目な受験生を見せてましたもん」
「うん・・・ふふっ。完璧だったよ。
事実だけどね!真面目な受験生っていうのは」
真面目にやりつつ好意も見せていたつもりだったが・・・
さんは鈍感なのか。
もっと大げさにアピールしておくんだった。
「ありがとう。嬉しいよ。
・・・・・・でも私、年上だけどいいの?」
「当然です!関係ないですよ!
そのままのさんが好きです!!」
「嬉しい・・・・・・じゃあ、今日から
零くんの彼女にしてください」
赤い顔と潤んだ瞳は変わらず、恥ずかしそうに微笑んで嬉しい返事をくれた。
今日からさんが・・・僕の彼女・・・。
僕はさんの彼氏・・・。
なんて良い響きなんだ。
今日まで頑張ってきてよかった!!!
「さん!!」
「きゃっ・・・!」
やばい。
無事に告白が上手くいったら安心と嬉しさでさんに触れたくなり、勢いで抱きしめてしまった。
付き合ってすぐ手を出す奴はロクな奴じゃないと思っていたのに、まさか自分が?
東都大学に入るために勉強一筋だったから、彼女ができたこともなければ女性に触れたこともない。
つまり・・・・・・童貞だ。
さんは・・・・・・経験があるのだろうか。