第6章 【安室 透】秘密の時間
「さっきよりも顔と髪の毛がツヤツヤしてるのは誰のため?」
「これは・・・友達が勝手に・・・」
「その可愛い顔と潤んだ目・・・僕以外に見せたらダメだよ」
「何言っ・・・んん・・・っ」
私の頬に触れていた先生の手が後頭部に移動して、強く抑えられたまま唇を奪われる。
もう片方の手は腰に。
こちらも離れないように、強く。
先生の吐息が熱い。
柔らかい唇が何度も何度も重なる。
気持ちいい・・・。
ダメだとわかっているのに、学校で初めてするキスに興奮してしまう。
「ふっ・・・そんな顔されたら、先に進みたくなっちゃうな」
「はぁ、はぁ・・・だ、め・・・」
「スカートも、短すぎるからね?」
「ひゃっ・・・!!先生!!もう・・・離れて・・・っ」
太腿を指で優しく触れられ、さすがにこれ以上は危険だと感じたので思い切り胸を押しのけた。
全身が火照って足がガクガクする。
イケナイ場所というのは、こんなに気持ちが昂るものなのか。
「その顔じゃ戻れないからもう少しここにいて。
口紅・・・僕にうつっちゃったね」
自分の唇を指で拭う仕草が色っぽい。
リップ・・・持ってきて良かった。
あんなに赤く塗られたのに落ちてるのを見られたら絶対に怪しまれる。
必死に気持ちを落ち着けながら、ワイシャツのボタンを閉めて、ウエストで折っているスカートの丈を伸ばした。
下着が見えるとか言うから周りの目が気になってしまう。
そういえば、「高校生男子の性欲を侮ってはいけない」って誰かが言ってたな。
先生は高校生どころか一回りも上だけど・・・と思いながら安室先生を盗み見るとバチッと視線が合った。
既に教師の顔をしてニッコリ笑っている。
「好きな子に対しては、いつでも欲情していますよ」
「なっ・・・・・・」
"安室先生"の話し方でそんなこと言わないでよ・・・。
先生と一緒にいたら、いつまで経っても落ち着かない。
どうしようかと思った時ちょうど予鈴がなったので、急いでリップを塗り直し研究室を後にした。
先生に声を掛けられた気がするけど、応えている時間はない。
どうせ次の時間、また顔を合わせなければいけないのだ。