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【名探偵コナン】ゼロの花嫁【短編】

第6章 【安室 透】秘密の時間



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数学の研究室前。

大きく深呼吸をしてから扉をノックすると、中から「どうぞ」と声が聞こえた。

その声に緊張しつつ扉を開けると、先程のように微笑んでいる安室先生が迎えてくれた。



「さん、早かったですね。
 僕に早く会いたかったんですか?」

「・・・昼休みが終わってしまうので・・・」

「ははっ。つれないなぁ」

「・・・不備ってどこですか?」



さっさとやるべきことを終えて教室に戻りたいのに、先生は首を傾げて動く気配がない。

まさか、呼び出した理由忘れてるの?



「あの、提出物・・・」

「あぁ、さんに不備なんてあるわけないですよ。完璧に書けていました」

「・・・は?じゃあ、何で呼んだんですか・・・っ!!」



教師が生徒に嘘をついていいのか。
と、一言文句を言おうとした時、正面からふわっと安室先生に抱きしめられた。

甘くて優しい香りに包まれて、ドクンッと心臓が飛び出しそうだ。



「・・・ドキドキしてるね、可愛い」

「ちょっ・・・先生・・・学校ですよ・・・」

「ですね。今日は、我慢できなかった・・・ごめん」



心臓の音が先生に伝わっているのも恥ずかしいし、耳元で先生の吐息と声を感じるのも恥ずかしい。

私達は教師と生徒。

誰にもバレてはいけない、秘密の関係。

学校では必要以上に話さない、2人きりにならない、という約束を交わしていたのだが・・・何を我慢できなかったのだろう。



「・・・さっき告白されて抱きしめられてたでしょ」

「・・・あれは抱きしめられたというか・・・抱き寄せられた・・・というか?」

「同じだよ。君に触れていたことには違いない」



まぁ、そうだよね。

近付いてくるから避けようとしたのに、先輩の力が強くて悔しいことにヨロけてしまった。

それを見られていたんだ。



「もっと強く断った方がいいよ。そもそも、呼ばれて素直に付いて行くことないと思うけど」

「ちゃんと断ってますよ!さっきだって、はっきり無理ですって言ったし・・・」

「前から思ってたんだけど・・・このワイシャツ、ボタン開けすぎじゃない?角度によっては下着が見えて誘ってると思われるよ」

「っ・・・!!」



顔から火が出るほど熱くなり、襟元を両手で押さえた。
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