第1章 【降谷 零】合コン
「それよりヒロ!このお通し、すげー美味いぞ!ほら、も!」
「えっ?あ、ありがと・・・」
零が勧めてくれた、お通しのポテトサラダ。
キャベツと鰹節が入っていて、自分では作ったことのないものだった。
美味しい・・・これなら家でも作れそう。
「ゼロ、これくらいなら作れるから今度作ってやるよ!お前は料理からっきしだからな!」
「へぇ・・・ヒロくんは料理得意なの?」
「あぁ、結構好きだよ。は普段、料理するのか?」
「うん。最近よく作るようになったんだ!」
ヒロくんは料理男子なのね。
昔から面倒見がよかったし、美味しいご飯を作ってみんなに振る舞う姿が目に浮かぶ。
ニコニコ微笑んでいるヒロくんの隣で、ムスっと口を尖らせている零。
さっきはお通しが美味しいって喜んでいたのに・・・どうしたのだろう。
「諸伏くん、料理得意なんだ!私にも教えてー!」
「私は下手でいいから降谷くんに教えてもらいたい!」
照れているヒロくんと真顔の零。
2人とも、こうやってずっとモテてきたのだろうと予想がつく。
離れていた10年間、どのような人生を歩んできたのだろうか。
幼馴染と言えど何も知らないことに虚しさを感じる。
あのまま近くに住んでいたら、一緒に料理をすることもあったのかな。
「よせよせ。降谷は年上の女医にしか興味ゼロだからよ!」
「おい、松田!!」
年上の・・・女医・・・。
そういえば昔、聞いたことがあるような?
助けてくれた女医さんを探すために警察官になりたい・・・って言ってた気がする。
その気持ち、まだ変わってなかったんだ。
零の好きなタイプは、年上の・・・女医・・・年上・・・。
何だかモヤモヤして、グラスに半分以上残っていたお酒を一気飲みした。
「え、・・・そんなに呑んで大丈夫?」
「だいじょーぶ!おかわりくださーい!!」
お酒が弱い私を心配して美波が心配してくれたが、どうにでもなれという感じだった。