第4章 【安室 透】看病
透さんの顔が近付いてきて、どちらからともなく唇を合わせる。
ちゅっ・・・と音を立てて離れ、またすぐに口付ける・・・を繰り返していく。
さっきはしてもらえなかったキス。
やっと貰えた喜びに浸っていた・・・が。
「だ、だめっ・・・やっぱり・・・」
「・・・どうした?嫌だったか?」
「ううん!すっごく嬉しい・・・んだけど・・・。風邪、うつしちゃったら申し訳ないから・・・」
「何だ、そんなことか」
・・・そんなことか、って!大事なことですよね!?
透さんは大して気にもせず、私をベッドに寝かせてその上に跨り、頬に手を添えた。
「そんなこといいから、もっとキスしていいか?無理はしないように・・・・・・善処する」
「・・・ふふっ。善処、ですか?キス・・・・・・だけ?」
「・・・・・・そんな可愛いこと言ってると手加減できなくなるぞ」
「ん・・・しないでくださ・・・んんっ!」
色っぽい目付きに変わった彼が、口を塞ぐように唇を強く押し付けてきた。
手加減できないと言っても、私が苦しくならないように気を遣ってくれている所が透さんらしい。
激しいキスが続くのかと思っていたら、頭や耳を優しく撫でながら啄むように口付けてくれる。
上唇、下唇、両方・・・と順番に、味わうように。
それだけで身体が火照って熱くなり、息も荒くなってきた。
「はぁっ・・・んっ・・・あ、ん・・・」
「可愛い・・・・・・。辛くないか?」
「んーん・・・気持ち・・・ぃ・・・んっ」
「ッ・・・煽らないでくれ・・・」
透さんの掠れた声が耳に響いてゾクゾクする。
本当に手加減しなくていいのに・・・なんて言ったら、また「煽るな」って怒られるだろうな。
透さんに風邪がうつらなければ、私は辛くても全然平気。
実際、辛いどころか気持ち良すぎて声が漏れてしまう。
「ん、・・・舌、出して・・・べーって」
「ぅ、ん・・・べー・・・」
「んッ・・・かわい・・・は・・・ッ」
初めは舌先を突き合い、少しずつ濃厚に絡めていく。
この時の色気のある表情が大好きで、いつもこっそり見ているのだが、今日は何故か目が合ってしまいドキッとした。