第4章 【安室 透】看病
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ふわふわした温もりと美味しそうな匂いがする。
ゆっくり目を開けると見慣れた天井と見慣れた布団。
透さん、部屋まで運んでくれたんだ・・・。
気が付かないほど深く眠ってしまうなんて。
おかげで先程より身体が楽になった気がする。
「あ、起きた?」
「透さん・・・・・・ありがとうございます。重いのに運んでもらっちゃって・・・」
「全く重くないよ。熱測ってみよう」
そう言って私のパジャマのボタンを開けて脇に体温計を入れてくれる。
着替えもやってくれたんだ!そんなにやってもらったのに何で目が覚めなかったの・・・恥ずかしい。
「37度7分か。卵がゆ作ったけど食べられそう?」
「何から何までありがとう・・・食べたいです!」
外では敬語だったのに、優しい口調でタメ口を使ってくれる透さんにドキドキして、更に熱が上がりそうだ。
「ふー・・・ふー・・・はい、あーん」
「・・・じ、自分で食べられますよ?」
「いいから、口開けて、はい」
「ん・・・あーん・・・・・・うん!美味しい!」
透さんが作ってくれた優しい味のお粥。
自分1人では体調不良の時に作ろうとは思えないから、この優しさが身に染みる。
ニコニコ微笑みながらお粥を口に入れてくれる透さん。
餌付けされているみたいだなぁ・・・と思いながらも、あっという間に茶碗1杯ペロリと食べ切っていた。
「ごちそうさまでした!」
「よく食べました。はい、じゃあ薬を飲んで寝ましょう」
「えー・・・眠くないです」
「僕もここにいるから。はい、布団に入って」
透さんに促され渋々布団の中に横になる。
せっかく家に来てくれているのに、寝るなんてもったいない。
私が体調を崩すのがいけないのだけど・・・。
「・・・。今もまだ、怖い夢・・・見てるか?」
「あー・・・たまに、見るかも・・・」
元彼にストーカーされていた時に怖い思いをした光景が、夢に出てくる。
疲れた時や体調不良の時は特に。最近は少しずつ減ってきた気はするけど・・・。
「さっき、魘されてたから・・・」
「・・・ごめんなさい、お見苦しい所を・・・んっ」
透さんの暖かい腕にふわっと抱きしめられた。